


モロカイ島は、伝承によるフラダンス発祥の地です。
伝説によれば、フラダンスを最初に踊った女神であるラカ(Laka)が、ハワイ諸島を旅し、優美な動きやチャントを他の者へ伝えたということです。それが何世代も超えて現在のKumu Hula(クムフラ:フラダンスの先生)にまで継承されたのです。
モロカイ島が誇る伝説のクムフラ、故ジョン・カイミカウアは、まさに女神ラカのフラを魂レベルで継承してきた人物として知られていました。
カ・フラ・ピコ・フェスティバル(Ka Hula Piko Festival)では、観光客は歓迎されますが、このフェスティバル自体はハワイアンが催す、ハワイアンのためのものです(毎年5月に開催)。
教室やレクチャーが1週間にわたり行われた後、フェスティバルはお祝いの日であるホオラウレア(ho'olaule'a)に最高潮に達します。
このホオラウレアの日は、夜明け前にマウナロアの丘の上で始まります。
伝説ではこの丘は、フラダンスが初めて踊られた場所だと伝えられています。
ハワイ州全域のフラハラウ(Hula Halau)、いわゆるフラダンスの学校がここにやって来て、神聖な日の出の儀式に参加します。チャントがPa Hula(フラダンスを踊るための場所)や、2年前に建設された石でできた伝統様式の壇上で、鳴り響きます。
(ここは、現代のハワイアンによって建てられた古代式建築物を見ることができる、数少ない場所です)。
そこからこのイベントは、メイン会場へと移り、丸1日をかけてパーティーが行われます。 モロカイ島のダンサーやミュージシャンを巻き込んだこのパーティーでは、古代風からアンプを使ったロックなスタイルまで、様々な種類を楽しめます。
カ・フラ・ピコ・フェスティバルの特徴は、これが「旅行者向けアトラクション」なんかや「フラダンス・ショー」ではないということ。
このフェスティバルは、ハワイアンによるハワイアンのための無料のリニューアル・ギャザリング(復興集会)なのです 。
10月に開催されるAloha Week festivities(アロハ・フェスティバル)や毎年冬に開催される伝統的イベント、マカヒキ(Makahiki)フェスティバルにしても、同じことが言えます。
ゲストは大歓迎。だからといって、客引きや観光客のために開催することが目的ではないのです。
美しいフラショーを見に行く感覚で、モロカイ島のKa Hula Pikoフェスティバルを訪れたならば、きっともしかするとその素朴さゆえ、がっかりするかもしれません。フェスティバルの本質は、そこにはないからです。
モロカイ島全体に共通して言えることですが、モロカイ島では「目に見える」ものは、自然とそこに住む人々以外、何もありません。
しかし、太古の時代から眠る叡智、スピリットは大いなる存在としてモロカイ島がモロカイ島として機能しはじめたときから、変わらずそこにあるのです。それを感じるためにはどうすればよいのでしょうか?
言葉や目に見えるものだけを信じている限り、感じられないかもしれません。あなたが本当に心の奥底から湧き出る自分の「直感」に従ったとき、モロカイ島の本質に出会うことができるでしょう。
カ・フラ・ピコフェスティバルは、まさに、モロカイ島の本質を象徴するフェスティバルでもあるのです。
フェスティバルの歴史
モロカイ・カ・フラ・ピコは1991年、Halau Hula O Kukunaokala率いるクムフラ、故ジョン・カイミカウア(John Ka'imikaua)とモロカイ島地域の人々によって立ち上げられました。
ハワイ文化と教育を目的として設立されたこのイベントは、モロカイ島で古くから口語によってのみ伝えられてきた歴史を人々に伝えることから始まりました。フェスティバルは独特で、島がフラ生誕の地であることを証明する、口語によって伝えられてきた数多くのモロカイ島の伝統を表現しています。
口語で伝えられてきた古代におけるモロカイ島の歴史(mo'olelo )によると、KA'ANAエリアがフラ生誕の地として語られています。KA'ANAは、モロカイ島西、マウナロア山の平原に位置しています。
La'ila'i(ライライ)という名前の女性が、マウナロア山のPu'u Nana丘にあるKa'anaに家を構えました。彼女は、ダンス(HULA)を踊り、その独特な踊りを人々に広めました。そのダンスは、かつて人々が見たこともないようなダンスフォームでモロカイ島からその他の島々にも広まりました。
ライライの死後、5世代が過ぎたころHULAは世間から迫害され、ライライの子孫だけにひそかに継承され、神聖なKA'ANAの地だけで踊るものとなりました。
ライライの5世代後に、ライライの一族としてLAKA(ラカ)が誕生し、姉であるKapo'ulakina'u(カポウラキナウ)からHULAを教わりました。他の一族とは異なり、また一族の許可を得ずに、LAKAはモロカイ島を出てその他の島にもHULAを広めました。そして、HULAはハワイ諸島全島に広められ、以降、LAKAがHULAを踊った最初の女性として今日まで語り継がれています。
毎年、古代モロカイの伝統に基づいて歴史的なテーマが設定されます。例えば2005年「Moloka'i Pule O'O」(強力な祈りをささげるモロカイ島)と題して行われ、モロカイ島のカフナがかつて強力な祈りによって恐れを排除し、奇跡を呼び込むことがテーマとなったり、2013年「Nā Kupua 'E'ē」(古代ハワイ・モロカイのシェイプシフター)と題し、古代ハワイから変化を遂げてきたもの、特にモロカイ島に絞って伝えていきました。
フェスティバル本番前の週には、古代モロカイ島のカフナの伝統に基づき、様々な講義が開催されます。
毎年、講義はクムフラ、ジョン・カイミカウアによって開催されていたものが、彼亡き後は、その年のテーマに基づいてその都度様々なクムフラが語ります。
フェスティバルが古代の伝統を重視しているもうひとつのポイントは、モロカイ島の歴史的史跡の紹介です。その年のテーマに沿って島の伝統的な史跡がクムフラによって選ばれ、その場所を訪問しながら、古代モロカイ島の歴史について講義を受けます。この史跡訪問は、一般の人々にも開放され無料で参加できます。
クムフラ、ジョンは毎年オリジナルのTシャツを制作し、それらはその年のテーマに基づいたデザインとなっており、Tシャツからも古代モロカイ島の伝統や歴史を習得するツールのひとつになっており、それらもクムフラ・ジョン亡き後引き継がれています。
Tシャツには多くの伝統的な古代モロカイのKAPAパターンや地質学的なデザインが起用されます。
3日間にわたって行われるフェスティバルは、ハワイ州のミュージシャン、HULA HALAU、飲食ブースやマーケットブースなどで盛り上がります。飲食ブースやクラフトブースは、モロカイ島在住のローカルによって構成され、モロカイ島独特の雰囲気と古代ハワイの面影を提供します。
Written by Kumu John Kaimikaua (記事執筆:クム、ジョン・カイミカウア)
Ka Hula Piko Festival ● カ・フラ・ピコ (毎年5月第2金・土・日開催)


LAKA生誕地であるKA'ANAの丘は、私有地になっているため、地元の人の案内なしで、または無断で立ち入ることはできません。
この地を訪問できるのは、カ・フラ・ピコフェスティバルの時のみで、クムフラと共にこの地で祈りがささげられ、現在では一般の人も参加できるようになっています(事前申込必要)。